何故飲食の労働時間は長いのか考察してみた
みなさんこんにちは!
ブラックブログ管理人のBravoです!
このブログは飲食にまつわる小ネタや小咄、私自身のオススメのモノの紹介などを中心とした雑記ブログです。
ブログの内容や私自身については以下の記事を読んでください。
さて本題。
何故飲食の労働時間は長いのか。
どの業界もホワイト化に向かっていく昨今。
飲食は未だにその流れに取り残されています。
勿論大きな会社などホワイト化(正常化)を徹底している飲食店などもあり、一概には言えませんが皆さんの予想通り労働時間は相変わらず長いのがデフォルトです。
ではどうして飲食の労働時間は一向に短くなっていかないのか。
それにはとても現実的な理由があります。
決して「朝から晩まで働くことにより料理やサービスがうまくなる」みたいな根性論ではないです。
私はこの根性論嫌いです。
勿論一朝一夕で技術が身につくとは思いませんが、教える側も教えられる側も要領とスピード感を意識すればより早く取得できると考えています。
まあこのことは今回の記事とは関係ないのでまた別の機会に。
飲食の労働時間について現役プレイヤーの立場からみた現実を書いていくのでぜひ見ていってください。
特に
- 飲食に就職しようと思っているけど労働時間とかどうなっているんだろう
- 他業種転職で飲食を狙っている
- なんとかして労働時間を短くしたいと考えている現役飲食プレイヤー
- 飲食ってなんでそもそも労働時間が長いのかわからない
方々に読んでいただきたいです。
なお以下に書いていくのは全て正社員での話です。アルバイトはこの限りではないのでご安心を(?)
ちなみに以下に書くのは普通のレストランのような店舗をイメージして書いています。
タピオカやさんとかではないのであしからず。
前置きはこのくらいにして目次からどうぞ↓
現在の飲食店の実際の労働時間について
では実際に私が今現在在職中の店舗の労働時間を例に話していきます。
一日の労働時間は平均11.5時間
月の公休は8日
一月30日で計算すると
一月あたりの労働時間は
11.5時間×22日=
253時間
となります。
いかがですか?
きっと飲食店で現在在職中の方の半分以上は「短くね?」と思うでしょう。
きっと飲食以外のホワイトにお勤めの方は「長くね?」と感じたことでしょう。
ちなみに一日の内訳は
9:30出勤
14:45〜16:45休憩(二時間)
23:00退勤
となります。
飲食として極一般的な労働時間です。
といっても私の労働時間が全てではないので一応調べてきました。
「外食産業産業における労働時間と働き方に関する調査」によると
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000511973.pdf
この通り週の所定労働時間は35〜40の回答が最も多く、このままなら計算上月に多くても160時間ほどになります。
あれ、、?おかしくない、、?
と思った方安心してください。
皆さんにも残業という概念があるように、飲食にもきちんと残業が存在します。
しかしこの
「飲食の残業時間」
これがとても厄介なのです。
普通の業界では許されないようなことがまかり通っているのです。
詳しくは次の章へ。
飲食店の残業について
労働時間の長さとは直接関係内容に感じるかもしれませんが、飲食の働き方を理解する上で大切なことなので説明しておきます。
飲食店も日に八時間を超える労働は残業という形になります。
しかし見てくださればわかるように私の働いている店舗では一日8時間の労働なんてそもそも眼中にありません。
そうです。残業ありきでシフトが組まれています。
残業ありきの労働時間なのはどの業界にもあることだと思いますが、日に3.5時間も残業することが折り込まれているなんてことありますか?
しかし飲食ではこれが当たり前なのです。
この残業時間のことを「みなし残業」や「見込み残業」なんて呼びます。
「ごめん!今日仕事おわらないから残業お願いして良い?」
「わかりました!」
「ありがとう!終わったら一杯奢るよ!」
なーんていう素敵な会話は飲食では起こりません。
何故なら皆残業なんてやる前提でいるからです。
ちなみに先ほどの調査でも
となっております。
日の時間外労働が4時間と答えた人が最も多く、この通りに先ほどの労働時間と合わせると、
時間外労働が一日に4時間、週に28時間。所定労働時間が週に40時間。てことは週に68時間。一月4週だとすると労働時間はなんと
272時間
となります。
どうです?結局私の現在の労働時間と一緒くらいになったでしょう?(笑)
ちなみに残業代について
このみなし残業で発生する残業代は「基本給に含まれている」ことが多いです。
と、書くと完全にただの違法行為やん!と誤解を招いてしまうのでちゃんと説明すると、
残業代がかなりの額発生することを基本給に織り込んでいる
ということです。
つまり飲食の基本給はかなり低く設定されています。
こればかりは会社や店舗でかなりばらつきがあるので一概には言えませんが、総支給30万円ほどの人なら基本給は18万円ほどでしょう。
そこにみなし残業や深夜手当などが加算されていくわけです。
つまり残業代ありきの給与設定なのです。
これも飲食の労働時間が短くならない理由の一つですね。
残業についてはまだまだ書きたいことがいっぱいありますが、とりあえずこの辺で。
飲食店における人件費について
飲食店でとても重要な数字は三つあります。
一つは家賃。
固定費なので減らしたりできないアンタッチャブルな領域。基本的には売り上げの1割から2割以内が殆どです。
二つ目は原価。
原価率30%が大体の目安ですが、実際30%も原価をかけられるのは個人店か、高級レストランくらいで大体は25%を目指している店舗が多いです。
そして三つ目は人件費。
人員を抱えれば抱えるほど膨らんでいく厄介なやつ。でも人手不足でも困ったことになります。
ちなみに原価率と人件費率を50%から55%に収めることが飲食店の目標数値でもあります。
この人件費について。
これはなんとなくわかると思いますが、基本的に飲食店は人件費を抑えることに日々躍起になっています。
「なんだかこの店スタッフ少なくて、全然注文できないなー」
と感じたことありませんか?
あれはバイトが急に来れなくなって、、、ってこともありますが、ほとんどの場合はその日の営業ができるギリギリの人数でやる前提のシフトになっているからです。
人件費を減らすにはスタッフを抱え込まないことが一番。
特に時間給で働くバイトはなるべく使わないことが大切。
できることなら全てを社員でこなせれば最高。
という考えのもと日々を営業しています。
つまりバイトでもできるようなことでも社員がやることにより、社員の労働時間は減っていかないのです。
前述した通り社員は残業代なんてあってないようなもんですから、雇用者からして見ると「使えるだけ使ったもん勝ち」な状態なのです。
これにより必然的に労働時間が長くなるのに、「みなし残業」により残業代も変わらないという完全なるデスマーチに陥っています。
「バイトを使えないなら社員を増やせば良いのでは?」
と考えたあなた。
甘いです。
社員は究極働こうが働かなかろうが固定で給料が発生してしまいます。
つまり増えれば増えるほどに人件費を圧迫していくことになるのです。
この人件費を抑えるために
飲食の労働時間は一向に短くなっていかないのです。
商品の原価と労働時間の関係性
人件費にも関係しますが一応別の章として説明します。
皆さん飲食店の商品の売値はどのように決まっていると思いますか?
「原価が大体30%に収めるのだから大体かかった原価に3かけたくらい?」
で決まっていると思ったあなた。
半分正解です。
実際は全ての商品で平均25〜30に収められれば良いのですから、別に35%の原価率商品があっても良いのです。
原価についてはまたいつか詳しく説明しようと思います。
先ほども申し上げた通りどの飲食店も原価率と人件費率を50%以内に収めることを目標に営業しています。この比率をFL比率なんて言います。
原価に25%と考えたら人件費は残り25%。
この辺りで察しの良い方はお気づきでしょうが、店舗によってそもそも抱えられる人数や人件費は決まっているのです。
何故かというと店舗の売り上げは時期によってバラツキはありますが、アベレージで考えれば大体予測できます。
例えば月の平均売り上げが1000万円の店舗の場合。
原価率を25%とするなら250万円。
人件費率を25%とするなら250万円。
このようにかけられる人件費は売り上げによって決まってきます。
上記の例えでいくと、かけられる人件費が250万円でその全てを社員で賄うとすれば雇える人数は多くても7人ほど。
当然シェフやマネージャークラスと一般社員では給料も差がありますからね。
大体このくらいです。
仮にこの7人のうちホール社員を3人、キッチン社員を4人とします。
キッチンを見てみると週末(金土日)の忙しい時には全員揃っていると考えると、平日の4日間で4人の休みを回すことになります。
月公休8日だとすると平均すれば一週間で2日間休みになるので、平日は2.5〜3人で営業することになります。
週末の半分ほどの人数で同じ営業をこなすという地獄のような日々です。
勿論平日は週末に比べれば営業に余裕があるので一概に同じ営業とは言えませんが、基本的にやることは週末となんら変わりありません。
4人いるキッチンですらこうなんだから3人しかいないホールは、、考えたくもありませんね。
そしてここにきてようやく原価と労働時間の関係性ですが、ここまで読んでくれたらお分かりいただけるように、
使える人件費を上げるために原価を下げる
というシーソーのような関係性があります。
勿論逆パターンの
使える原価を上げるために人件費を下げる
こともあり得ます。
原価を下げて使える人件費を増やせればスタッフの頭数が増えて、一人当たりの負担も減り、結果として労働時間を減らせる可能性があります。
では皆さん。
いちお客さんの立場として原価を下げるのをよしとしてくれますか?
詳しくは次の章で。
飲食店が安すぎて労働時間が短くならない問題
はい。ようやくここまできました。
もはやこれを書きたいが為にこの記事を書いていると言っても過言ではありあません。
これは完全に私の主観なのですが、
外食安すぎます
いや本当に。
結局原価を抑える為には大量仕入れ、大量調理が手っ取り早いです。
ではそんな資本力や物流を持っている会社は一体どれだけあるのでしょうか?
一握りの資本力を持った企業が原価を下げることができ、下げた分だけやすくお客さんに提供できるのです。
それでも中小極小店舗はその価格破壊に付き合わなければならず、原価を大手みたいに下げられないので結果として人件費を下げる他ないのです。
そしてもうお分かりいただけると思いますが、人件費を下げる為には頭数を減らすしかなく、それにより労働時間が長くなっていく、、というまさにデスループです。
そこで皆さん。もう一度問います。
いちお客さんの立場として原価を下げるのをよしとしてくれますか?
きっとよしとしてくれる人は少ないでしょう。
何故なら同じ商品を同じ値段で原価を下げるというのは単純にクオリティが下がるということを意味するからです。
例えば1000円で売っているオムライスで使っている卵を10個入り300円のものから150円のものにすれば原価は大幅に下がります。
でもそれはシンプルに「おいしい卵」から「普通の卵」になってしまうということ。
いつも食べているお客さんからすれば、もはや損しているとも言えることです。
それではお客さんはどんどん離れて行ってしまいます。
同じ値段でよりクオリティの高い店に。
原価は下げようと思えばどこまででも下げられます。
でも飲食店で働く者も休みの日にはいちお客さんになります。
そうなれば皆さんと考えることは同じで、より「コスパの良い店」を探します。
だから飲食店は原価をある程度のラインから下げることができず、結果としてスタッフの労働時間は減っていかないのです。
しかし商品そのもののクオリティを変えることなく原価を下げて、結果として労働時間を短くする方法はあります。
それは値段を上げること。
そうすれば当たり前のように原価が下がり、使える人件費が増え、頭数が潤い、結果として一人頭の労働時間は減ります。
それを皆さんは良しとしてくれるでしょうか、、?
だから言いたいのです。
外食は安すぎる
と。
我々飲食人の労働時間を減らすにはもはやこの道しかなく、完全なる行き詰まりを感じます。
まとめ
- 飲食の実際の労働時間は約270時間/月
- 残業により毎日所定労働時間に4時間プラスされる
- ちなみに 残業代は「みなし残業」により一定の範囲内は固定の残業代となる
- 人件費を抑える為に一人頭の負担が増え、労働時間が長くなりがち
- 原価と人件費はシーソーのようなものなので、原価を抑えられれば結果として労働時間が減る可能性はある
- しかしその為には「外食」そのものの値段設定を上げなければならな
最後に
いかがでしたでしょうか?
飲食における労働時間の長さについて自分なりの考察を踏まえてまとめてみました。
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